虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)、読了。
これ超面白かった!
最初の私小説的な内省的記述がつらいなあとか思っているのは一瞬ですぐに引き込まれます。村上春樹的文体?で近未来軍事SFを描くというか。近未来の軍隊、軍事テクノロジーの描写が精密かつぶっ飛んだ発想でイカしています。つってもあり得ないくらいのぶっ飛び過ぎではなく現状の進化の線上にあるというか。でもちょっとやそっとでは想像できない感じ。イキ過ぎててカッコ良い。
だってステルス機がフライングシーウィーズという俗称で呼ばれててこれは空飛ぶ海苔という意味だって。行き過ぎた進化で形状は真四角の平面が空を飛ぶ、と。なんていうか妙なリアリズム。技術的背景もサラッと説明されてたと思う。
民間軍事会社もイッちゃっているほど権限持っているし。アウトソースもここまでいっちゃうのかい?、みたいな。でも現実は既にそうなりつつあるような気も。
そういう技術的描写ばっかりでは勿論無く、人物の内面もしっかりと描かれますがこういうテクノロジー描写は大好き。
スパイ、特殊部隊の活動の描写は上記のようなテクノロジーとかを淡々と描くのですが殺人やら虐殺とかもえらい淡々と。作戦は全て事前情報と分析と数理的処理に基づいて行動するというか…。
表題の意味を理解できる箇所まで読んで唖然。有り得るのかもと思わせる筆力。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E8%97%A4%E8%A8%88%E5%8A%83 (Wikipedia)
伊藤 計劃(いとう けいかく、1974年 – 2009年3月20日)(満34歳没)
34歳とは夭逝過ぎる。
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