エッセイ:宇宙漫談

エッセイ:宇宙漫談

MT教授:
ivva君、その惑星に興味が有るらしいね。何でなの?

ivva:
ちょうど面白い科学、文明段階なんですよ。

MT教授:
というと?

ivva:
まだ惑星統一政府も無くて極めて原始的な段階から一歩、科学文明が進むか、衰退するか破滅するか、という状況ですね。

MT教授:
ふむ。科学レベルではどの段階なのかね?

ivva:
まだ最大のエネルギー源が惑星系の中心の太陽です。熱核融合の恒星で光エネルギーをその惑星が使用しているようです。

主に惑星の太陽を向いた半球の方角だけですね。

原子力には成功したようですが核融合はまだ実用に至って無い段階です。
また炭酸ガス濃度の問題で気候温暖化の問題も解決に至っていません。
文明的には惑星内部で核弾頭を備えた大陸間弾道ミサイルが小規模ながら”国”毎に装備してお互いが睨み合っている状態です。
惑星からの重力脱出には化学燃料を使ったロケットエンジンを使っているようです。

あ、コンピュータはまだ開発されておらず、集積回路計算機の改良でがんばっているようです。ウェットウェアも光計算機もまだまだですね。
量子型計算機に手を出したぐらいですね。

原始人に毛の生えた程度のレベルですね。

MT教授:
我々に比べたら100億年は遅れてるじゃないか。

優秀な君の研究対象としては時間の無駄だね。動物園理論の規則に沿ってこちらからは手を出さないように。観測はAIに任せてレポートは1000年に1度程度まとめて、1万年に1回の報告で十分かな。AIに任せて余りそこには時間を費やさないように。

ivva:
でも…面白い段階なので…。

MT教授:
ざっとレポートを見たけど、この惑星の文明パターンは「A-1345-β-RRR系」であることが予測出来るよ。

ivva:
えーと、そのパターンは…
あ、これですね。

・全面核戦争で半数の生命体が絶滅。残りの生命体も核の冬で絶滅
・出生率の減少で絶滅
・科学、文明の発達への意欲を失っていき緩やかに絶滅
・疫病、疾病対策の失敗でウイルス等のパンデミックで絶滅
・太陽の衰退前にエネルギー対策の失敗、太陽系から外宇宙への脱出も失敗で絶滅
・AIの反乱で絶滅

って、生命体、全部絶滅パターンしか無いじゃないですか〜。

MT教授:
でも我々からすると動物園レベルの生命体に手出しすることは禁止されているだろ?

ivva:
仰るとおりですね…規則だと…。

MT教授:
きちんと自らで発達して外宇宙に…

ivva:
いや教授、パイオニア10号という観測船が…

MT教授:
なになに?

ivva:
これがその観測船に貼ってあった金属板です。

MT教授:
あー、古代文書レベルでは我々も似た様なことやってたよ。もうちょっと発展すると実験対象になっていじられまくるかなぁ。我々はその段階を何とか突破したけど。

ivva:
じゃ、どうしたらいいんですか?

MT教授:
もうその惑星の科学・文明パターンは珍しくないので。他の研究対象を探さないと博士論文は難しいよ?

ivva:
でも教授、そのロジックでいくと我々も…

MT教授:
そう。もっと高度な科学文明を持ったモノからしてみれば、ね。

ivva:
その科学文明も、それより高度な…

MT教授:
その辺は銀河ハイウェイ公団が一番詳しいかな?

ivva:
何でですか?

MT教授:
宇宙バイパスとかワープトンネル作る時、邪魔だろ?その辺の管理は公団がやってるんだ。
立ち退きの告知も公団が各銀河系に送っているはずだよ。

一度、銀河連盟の公団の資料を見た方がいいんじゃないかと

ivva:
あ、今、公団に資料を請求してみました。

MT教授:
仕事が早いね。で?

ivva:
現在の宇宙がエントロピーの法則で熱膨張で1400億年後に壊滅する、
または「ダークマター」の増大で宇宙が収縮して壊滅するらしいので。

別の宇宙次元へのトンネル作成で忙しいから後にして、とのことです。

MT教授:
ガックシ。お役所仕事だなぁ。

星新一的面白さと、お役所仕事の変わらなさを入れ込もうとして失敗…。
あと、一応SF小説の名作、銀河ヒッチハイクガイド、へのオマージュにもしたかったが微妙に触れて挫折…。

銀河ヒッチハイクガイドhttps://amzn.to/4dXWdfw

銀河バイパス建設のため、ある日突然、地球が消滅。どこをとっても平凡な英国人アーサー・デントは、最後の生き残りとなる。アーサーは、たまたま地球に居た宇宙人フォードと、宇宙でヒッチハイクをするハメに。必要なのは、タオルと“ガイド”―。シュールでブラック、途方もなくばかばかしいSFコメディ大傑作。


参考資料

パイオニア10号(1972年)、11号に搭載された金属板
Pioneer Plaque
https://science.nasa.gov/resource/pioneer-plaque/

Pioneer_Plaque-1

パイオニア探査機の金属板
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%8B%E3%82%A2%E6%8E%A2%E6%9F%BB%E6%A9%9F%E3%81%AE%E9%87%91%E5%B1%9E%E6%9D%BF

“金属板には人間の男女の姿とともに、探査機の故郷である地球に関する情報を示す記号がいくつか描かれている。この金属板は星間空間を漂う一種のボトルメールとして作られた。この金属板を搭載した探査機が将来、ある恒星の周囲30天文単位以内を通過するまでに要する平均的時間は我々の銀河系の現在の年齢よりも長いと見積もられている。”

“批評
この金属板について批評家達は、これに描かれたメッセージはあまりにも人間中心主義的で理解するのは困難だと論じた。この金属板のメッセージは、容易に読めるということよりは最小限のスペースに最大限の情報を盛り込むという意図の下にデザインされたものだが、このメッセージを見せられた研究者でメッセージの全てを解読できた者はほとんど誰もいなかった。このことから、我々人類と同じ知識を共有していない地球外知的生命体がこれを解読するのはもっとずっと難しいだろうと考えられる。もしこの金属板が地球外知的生命体によって発見されたら、我々がエジプトのヒエログリフを解読するのに何世紀もかかったのと同様に、この発見者がメッセージを読み解くためには数世代を必要とするかもしれない。

この金属板に対する別の批評として、悪意を持った地球外知的生命体がこのメッセージの情報を使って地球を発見・攻撃するかもしれないので、探査機の故郷をこのような方法で示すことは賢明ではない、という批判もある。これに対してセーガンは、このメッセージが近い将来に発見される可能性は非常に小さいこと、また地球は数十年間にわたってラジオ・テレビ放送の電波を光速で地球外に放射し続けており(ラジオ放送は1930年代に実用化されたので、計画実施の時点で既に40年)、既に地球の存在は銀河系内に宣伝されていることを挙げてこのような見方には反対した。

フランク・ドレイクによると、この金属板に描かれた人間が裸体であることについて多くの批判的・否定的な反応があった(Sagan, 1978)。シカゴ・サンタイムズは男女の絵の性器を隠すように画像を修正して掲載した。ロサンゼルス・タイムズは、NASAは宇宙に猥褻画を送るために納税者の金を浪費したと非難する読者からの「怒りの手紙」を受け取った.”

ドレイクの方程式
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%81%AE%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F

“我々の銀河系に存在し人類とコンタクトする可能性のある地球外文明の数を推定する算術的な式である。「方程式」と通例として呼ばれてはいるが、代数方程式などのような、いわゆる方程式ではない。この式は、1961年にアメリカの天文学者であるフランク・ドレイクが提示した[1][2][3]ものであることから、その名で呼ばれている。”

パラメータの一つに、

L : 知的生命体による技術文明が通信をする状態にある期間(技術文明の存続期間)

つまり地球外の知的生命体とのコンタクトには、自分の地球の文明がどれだけ持続するか。自身を、地球を振り返って見ることにも繋がる。

そして映画「コンタクト」では宇宙人から受け取った最初のメッセージはナチスの鉤十字のマークとヒトラーの映像だった…。

これは電波が地球外生命体にまで届き、なんらかのメッセージ、「Hello message」だと捉えられたため、「ハロー」と返してきたのが上記映像、というストーリーから始まる…。


参考資料終わり

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