読書:ルポ 電王戦―人間 vs. コンピュータの真実

ルポ 電王戦―人間 vs. コンピュータの真実、読了。
まず最初に言っておきたいのが棋譜が一つもないところが良いです。
本書では棋譜…つまり将棋の駒の動きを記す図解が一つもないのです。これはすごいです。これだけ将棋のことを描いた本にも関わらず。慎重に読むと敢えてそうしていることが分かります。つまり将棋のことを一切分からない人にも本書の面白さは伝わるということです。
って言ってもそもそも将棋を知らない人にとっては棋譜が無いことの凄さが伝わらないよね?
どっかでよんだ科学的な新書本ではどうしてもこの数式は記述せざるを得ないつってE=mc^2を記述した本があった記憶ですが。
つまりそれ以上にすごいんです!つって伝わるかな?
小生はというと将棋は駒の動かし方とルールを知っているぐらいで超激弱です。
で、本書は非常に読みやすいです。将棋プログラムの発展からその裏側の人間ドラマまで肉薄して描いており興奮して熱く読めました。
やっぱり一番のトピックはBonanzaの出現かと思います。それまでの将棋プログラムはプログラマーが将棋の勝てるロジックをプログラムにいかに落としこむかだったのですが。つまりプログラマーの将棋能力が将棋プログラムを支配していたのですが。
Bonanzaはその手法ではなく機械学習で大量の棋譜をコンピュータに落としこんで自動で学習させるという、今までとは180度違うスタンスで開発してきたのです。それが将棋プログラム大会で颯爽と1位と取得するという。そしてBonanzaの開発者はそれほど将棋能力が高いわけではなく、むしろ専門分野は化学の研究者だったという。この辺の裏側も非常に面白いです。
将棋プログラム、機械学習、人工知能、などに少しでも興味がある人は読むべき良書かと思われます。

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