面白いほどよくわかる孫子の兵法―43の名言から学ぶ勝利への戦略 (学校で教えない教科書)、読了。
「孫子の兵法」ってのはね…。ってぇ説明はすっ飛ばして行きます。各自ググるなり、ウィキペディるなり、アマゾるなりしてちょ。
まぁ超大昔(約2500年前)の中国の人が書いた戦争の指南書だって思いねぇ。
っつーと戦争のテクニカルな面ばっかりを書いてると思いきや。勿論その辺も書いてあるのですが…。
戦争は膨大な浪費なのでなるべくしない方が良い。
戦争が何を浪費するのか知り抜いていないものは勝てない。
戦争とは敵を騙すこと。
謀略は戦以上に重要。なぜなら膨大な浪費である戦を避けられるから。これぞ戦わずして勝つ。
っつーように戦争回避を第一に挙げてるのね。この辺は漫画 : 墨攻がすごい面白いから読むといいよ!
で、君主論(これも各自ググるように?)と同じように君主とは何かについても書いてます。
民意を無視した戦に勝利は無い、とか君主の資質とは何かとかね。
テクニカルな面では情報戦、補給路の重要さ。周到な準備と攻撃開始のタイミング。
本書では孫子の兵法の各編の解説と実際の歴史上の戦争を例に取って分り易く説明されています。
攻撃開始のタイミングについてはノルマンディー上陸作戦とか。天候であの大作戦を1日延期してたのね。映画は史上最大の作戦が超面白いよ。3時間と長いけどね。で、ノルマンディー作戦は第一陣の兵力だけで兵員15万6000人、艦船約4400機、航空機は延べ2万5000機。の一斉攻撃の1日延期という判断をアイゼンハワー大統領が決断した辺りの解説とか。
補給路についてはガダルカナルの戦いを、将軍(君主に仕える武将)の資質についてはインパール作戦を例にして。
「勝負度胸と乾坤一擲の作戦」については第一次大戦の伯爵シェリーフェン元帥の作戦を例に説明。これ知らなかったけど面白い。
で、一番面白いのがスパイの扱いについて。孫子の兵法によると君主や将軍はスパイに対して最大の価値を認め、最高の待遇を与えるべきだと説いている。
スパイにこそ最大の報償を与えること。スパイの5種類(現代のCIAもこの5種の分類を用いているそうな。でもスパイの種類は細かく分けるともっと多数になると思うってページ見つけたよ)
http://akademeia.info/index.php?%A5%B9%A5%D1%A5%A4
で、孫子の兵法のスパイの5分類を本書からざっと要約すると下記かな。
1:因間(敵国の住民を使って情報を集める)
2:内間(敵国の役人を買収して情報を集める)
3:反間(敵のスパイを手なづけて自分のスパイとする。ダブルスパイ)
4:死間(自分のスパイには真実の情報を流し、敵のスパイには欺瞞情報を流す)
5:生間(敵国に潜入して自国に情報を持ち帰る)
ダブルスパイはその上のトリプルスパイの場合もあるかもね。というのは敵国のスパイが自国に寝返ったダブルスパイと思いきや完全に寝返っておらず、欺瞞情報を流されるという。で、その上のクアドラプルスパイもいるからね…。
これら5種類のスパイが一斉に任務に入り誰もその手口を知らない時それを「神技」と呼ぶという。
本書では死間について補足がある。これは私もスパイ映画とか好きで観ているがこの手法は無かった記憶。つまり死間は死を前提にしたスパイ。最初は自国の正確な情報を小出しに敵国に伝え信用を得て、ここぞという時に欺瞞情報を流す。途中でスパイだとバレると死(かダブルスパイになるように誘われるかだがその際も死を覚悟で)。そしてここぞという時の大局での欺瞞情報を流して成功した際も死が待っているという恐ろしいスパイ。やっぱ現代戦ではここまでのは余り無いかな?北朝鮮とかイスラム圏とかはあるかもね。
日本を舞台にしたスパイ小説で超オモロイのは麻生幾のZERO。これ日本で暗躍する超絶スパイマスターやら公安・外事警察のスパイワークなどてんこ盛りで素晴らしい。超絶スパイマスターを尾行する際には何人、何班のチームが必要かとか…。日本にもこういう一流のスパイ小説があるんですよ!小生は何回も再読しちゃったぐらいなのでスパイ好きな人は是非読むように。
ZERO (上)
ZERO (中)
ZERO (下)
wikisourceで孫子の兵法の英文があったのでこの5種の記述を引用。
The Art of War (Sun)/Section XIII
Hence the use of spies, of whom there are five classes:
Local spies;
inward spies;
converted spies;
doomed spies;
surviving spies.
When these five kinds of spy are all at work, none can discover the secret system. This is called “divine manipulation of the threads.” It is the sovereign’s most precious faculty.
ってぇのが紀元前500年ぐらい前(諸説あるようですが大体今から約2500年前!)に書かれてたんだから、さすが中国だね。
本書では巻末に全文と意訳が付いています。
この本はメモ書いちゃったしページの隅折りまくっちゃってるので売れないってぇのもあるけど、時々読みたいので蔵書決定だな。
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