読書 : ジョーカー・ゲーム

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ジョーカー・ゲーム、読了。

ビッグコミックスピリッツで連載中の漫画の原作小説。スパイ、エスピオナージュの短編、5編。
第2次大戦中、日本陸軍が設立したスパイ養成機関”D機関”を舞台に始まる。

陸軍中野学校(Wikipedia)

によると、D機関は背景や設立趣旨、最初に設立された場所などから陸軍中野学校をモデルとしている模様。一般大学卒が多く選抜されたというのも小説に出てくるし。校風や長髪、自由さなども。

5編はそれぞれが独立した短編。唯一、5編に共通する登場人物は機関を設立した結城中佐のみ。各短編の主人公はD機関員という共通項のみで全く別の人物が主人公。5編それぞれの舞台や設定、またミッションやトリックなども全く別で飽きさせないのですが。全編高テンションで読めたわけではないっす。文庫ではなく単行本でもまぁ損しなかった気分。といいつつ実はamazonアフィリエイトの収入が貯まってたので買いましたっ!

しかもこのミス2位なので外れは無いかなと。

結城中佐のキャラ造形も良い。伝説のスパイ。ザ・スパイ・マスター。

あるミッションによって現役を引退。その後D機関設立に奔走、育成に励む現在。
この人いろいろと秘密が多そうだぞ…というかネタばれになるので色々明かせないどころか…触れられない部分多数でうまく言えないね…。

題名の「ジョーカー・ゲーム」とは最初の短編で登場するゲーム。

D機関を監視するために送られてきた陸軍出の主人公。D機関も陸軍所属ですし予算の都合から彼を受け入れます。尋常じゃない選抜試験を一応通ります。この選抜試験の描写の件は、スパイ訓練ものの王道で良いですよ。人間にそんなことが出来るのか?的な。

養成中の訓練生達が余暇にお金をかけて遊んでいます。ポーカーなのですが通し(サイン)、覗き見、何でもあり。誰が誰を味方に付ける工作をして、実際は裏切っていて、サインが漏れていて、それを利用して…と何でもありのゲーム。

主人公は普通のポーカーだと思っていたので全く勝てず。その裏事情を知った際、何でこんなにゲームを複雑にする?と質問。他の学生がせいぜい国際政治程度の複雑さのゲームですよ、と、うそぶく所が渋くて面白かった。この辺から漫画の印象を超えて引き込まれた。外交ゲームも情報漏れとか通信の保秘、二重スパイとか本質はジョーカー・ゲームと同じ。

陸軍出の主人公は学生の醒めた態度や、軍人にあるまじき言動などに反発しています。
軍人であることがばれたらまずいので敬礼禁止。天皇陛下の名前を聞いて気を付けの姿勢を取るのも禁止。それを体に馴染ませる為に罰金もあったり。
自分が「スパイ」として陸軍からD機関に送り込まれている矛盾。

それがあるミッションで、陸軍のスパイ、D機関のスパイの矛盾からどうにもやばい立場に追い込まれます。あと数分で切腹するかどうか?の決断!どう切り抜ける?その後は解き明かしのどんでん返しが。

と、べた褒めっぽいですが、5編進むごとにだんだんと…。2編目の途中辺りからアレっ?現実離れし過ぎぢゃね?と思ったら、もう駄目。読んでる自分のテンションが落ちていきます。
この短編でエスピオナージュで異なる主人公で、ってかなり難しいと思うよ。うーむ。かなり惜しいです。でもこの作者の文庫でも買って読んでみようと思う。

さらに「野性時代」では続編の連載が掲載されてるとのこと。これは単行本待つかな。