走れ,タカハシ! (講談社文庫)、読了。
近所の古本屋で10円だったので購入。
(近所の古本屋は文庫本の値付けがブックオフより大胆で曜日によるセール日だと1冊10円!でいい本が手に入るのです。山崎豊子、トム・クランシー、ジョン・グリシャムなどの人気作品も10円という他店ではまず付けない値段…。なので時々パトロールに行って大胆に買い漁ります…。)
最初に読んだのは学生の頃と記憶。
村上龍の短篇集。タカハシというのは元広島カープの高橋慶彦選手のこと。高橋慶彦が現役の時の話。とはいっても高橋慶彦は主人公ではないのです。主人公は一般の人からクセのある人物多数。彼らが変わったシチュエーションに巻き込まれ「走れタカハシ!」と叫ぶシーンがクライマックスになりそれらがどの短編でもストーリーの肝になっている、というちょっと変わった短篇集。
村上龍曰く一塁にヘッドスライディングしてもそれが様になる極めて稀なプロ野球選手とのこと。この辺の美意識の描写は同著者の作品「テニスボーイの憂鬱」に出てくるテニスの描写に近い気がした。テニスがいかに美しいゲームか、テニスコートのラインの美しさを偏執的に描写。本作は高橋慶彦の美を偏執的に描写しているわけではないがスポーツ、肉体への崇拝というような何か似た匂いを感じた。村上龍特有のちょっと普通じゃない性的描写シーンも幾つか。
短編それぞれの登場人物がイイ設定イイ人物。会話も軽く大笑い出来るシーンも多数、というのは村上作品では珍しいのでは?
気軽に笑って読めるイイ短篇集です。
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