読書:昭和16年 夏の敗戦

昭和16年 夏の敗戦(猪瀬直樹著)

日本の敗戦(終戦、降伏?)の言い方で揉めないでね…。
で、敗戦は昭和20年(1945年)じゃないの?その4年前?という題名ですが。
総力戦研究所の成立の過程。そして研究所内で何が研究されその結果が政治、戦争にどの様な影響を与えたか、が書かれた本です。
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漫画「アルキメデスの大戦」にも登場したので若い人にはそちらの方が有名かも?

時系列は現在の研究所跡地から→総力戦研究所の設立の過程へ。
設立の為に各省庁のエリート官僚の選定過程。そして選定には民間人も含まれる。

参加メンバーの選考、決定の過程。如何に自由闊達に議論出来る体制を整備するか?

選ばれた各省庁の若手官僚が模擬内閣の各省庁の大臣を担当。
総力戦に必要なデータの収集、法整備の検討、工業力、軍需工場能力の算出等

大東亜戦争のシミュレーション(模擬戦闘)。

面接の語源も出てくる。
そして東條内閣の成立、戦争へ。

紹介レビューより
日米開戦前夜、四年後の敗戦は正確に予言されていた!
平均年齢33歳、「総力戦研究所」の若きエリート集団が出した結論は「日本必敗」。それでもなお開戦へと突き進んだのはなぜか。客観的な分析を無視し、無謀な戦争へと突入したプロセスを克明に描き、日本的組織の構造的欠陥を衝く。

問題は石油。南方戦線の理由も石油確保が最大の理由だったのですが模擬内閣では海軍陸軍の備蓄量がトップシークレットで算定出来ないという…。模擬内閣参加者は軍、官僚の超エリートだったのですがそこは超重要機密で知り得なかったらしい。

この大戦の軍需輸送物資の40%は石油だったと言われているらしい。
南方戦線への拡大で危惧されたのが物資運搬用の輸送船の損失率。軍船が擁護したとしてもどれくらい損失するのか?さらに鉄鋼、造船能力の計算。

この船舶の損失率の計算も模擬内閣に選ばれた民間人で英国に在住経験がある人がロイズの保険額の数値を元に算出。そうしたら実際の海軍の想定より正確だったり。

あとそもそも東条英機が非戦派で首相に選ばれた、というのは全く知らなかった。
非戦派ではあったが官僚主義過ぎ、陸軍大学の成績順を重視し過ぎなどの古い体質。
優秀な軍事官僚ではあったが政治家としては評価が低かった、らしい。

東條英機:首相就任(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E6%A2%9D%E8%8B%B1%E6%A9%9F#%E9%A6%96%E7%9B%B8%E5%B0%B1%E4%BB%BB

対米開戦の最強硬派であった陸軍を抑えるのは東條しかなく、また東條は天皇の意向を絶対視する人物であったので、昭和天皇の意を汲んで「戦争回避にもっとも有効な首班だ」というふうに木戸が逆転的発想をしたととらえられることが多い。
木戸は後に「あの期に陸軍を押えられるとすれば、東條しかいない。宇垣一成の声もあったが、宇垣は私欲が多いうえ陸軍をまとめることなどできない。なにしろ現役でもない。東條は、お上への忠節ではいかなる軍人よりも抜きん出ているし、聖意を実行する逸材であることにかわりはなかった。…優諚を実行する内閣であらねばならなかった」と述べている[25]。
東條は皇居での首相任命の際、天皇から対米戦争回避に力を尽くすように直接指示される。

そして総力戦研究所の出した結論は?そして政府はそれをどうしたのか?

紹介文
各界の著名人が絶賛!
日本的組織の構造的欠陥に迫る、全国民必読の書
〈広く読まれるべき本。講演で何度もすすめている〉
小泉純一郎(元内閣総理大臣)
〈データを無視し「空気」で決める。
この日本的悪習を撤廃しないかぎり、企業の「敗戦」も免れない〉
冨山和彦(経営共創基盤代表取締役CEO)
〈これは過去の歴史ではない。いまだ日本で起きていることだ〉
堀江貴文
〈私は、本書をまずまっ先に読むように若い学生諸君に伝えたい〉
橋爪大三郎(社会学者、大学院大学至善館教授)
〈結論ありきで大勢に流される日本の弱点が活写され、時代を超えて私たちに問いかける。あれからいったい何が変わったのか、と〉
三浦瑠麗(国際政治学者)
日米開戦前夜、四年後の敗戦は正確に予言されていた!
平均年齢33歳、「総力戦研究所」の若きエリート集団が出した結論は「日本必敗」。それでもなお開戦へと突き進んだのはなぜか。客観的な分析を無視し、無謀な戦争へと突入したプロセスを克明に描き、日本的組織の構造的欠陥を衝く。
〈巻末対談〉石破 茂×猪瀬直樹

名著「失敗の本質―日本軍の組織論的研究」と同じ様に日本の「空気」は未だ変わっていないと思う。

宮台真司×堀江貴文の対談にもあるが日本は法律や制度が変わっても何も変わらない。
民主主義は民衆の民度による。ブレグジットやトランプ大統領で今も証明されている。
じゃあどうするのか?民主主義のアップデート、実装方法についてまで触れてます。
第1回目(全4編)

全4編のプレイリスト
https://www.youtube.com/playlist?list=PLyBP6wZCgvqtwzMR7I1kdyLdH3EznRHQ0

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