読書:五分後の世界:村上龍著

五分後の世界、読了、約10回目ぐらいかな?
最初は単行本そして文庫本でも購入…kindleにも無いので自宅の本棚から発掘不可能でアマゾンで3回ぐらい購入…ってほんと馬鹿ですよね…。
まずはこの本の装丁は横尾忠則さんです。美しいので下記に。これはアマゾンのアフィなので合法っす。

愛と幻想のファシズム」も横尾忠則でしたね。リサ・ライオンがモデルで。肉体美が美しかった。文庫じゃなくて単行本の方ね。文庫本は単なるナチのユーゲント的な画像で危険だけどツマランっす。

単行本の画像貼ろうとしたのですがアマゾンでは無いっぽいので探れず…。
あと「愛と幻想のファシズム」については下記の記事で軽く触れました。が、かなり危険思想の小説でいいよ!
漫画:デストロイ アンド レボリューション
読書:半島を出よ

愛と幻想のファシズム(アマゾン)
激動する1990年、世界経済は恐慌へ突入。日本は未曽有の危機を迎えた。サバイバリスト鈴原冬二をカリスマとする政治結社「狩猟社」のもとには、日本を代表する学者、官僚、そしてテロリストが結集。人々は彼らをファシストと呼んだが……。これはかつてない規模で描かれた衝撃の政治経済小説である。

かなり読む人を選ぶ小説ですが村上龍ファンならOK。って1997年の小説なのでファンなら当然読んでいるはずなので意味無い記述…。
あとこの小説褒めると漏れなくウヨ認定されそうなんで嫌なんですが…。そういう政治認識は一切別として。
「愛と幻想のファシズム」は経済困難期の日本にカリスマが現れて。ヒトラーよりも科学的に政権を奪取しようとして。多国籍企業群の「ザ・セブン」と協調してるように見えて対立してて。全世界を巻き込んで日本にファシズム政権が誕生するまでを科学、経済的に破綻無い様に描ききった怪物的小説です。
で、本書「五分後の世界」はもっと危険な思想な小説で。日本が沖縄戦、広島長崎の原爆…本来はここで降伏の歴史ですが降伏せずにさらに日本各地に原爆を落とされたのに本土決戦をやった後、日本の今はどうなってる?という歴史のifもしも小説です。
主人公の小田桐は急に上記のパラレルワールドに巻き込まれますが。地獄な様な状況で。いきなり最前線でナパーム弾、装甲車の機銃の中をサバイブ。準国民審査で身分証もヘッタクレも無いので免許証や一万円札を見せると。精巧過ぎるし福沢諭吉だし意味が無い。スパイ扱い…。
「非国民」の働く工場でも5分以内に前任者から作業のコツを聞かないといけないんだけど。おい、ねぇちゃん、等の江戸っ子口調であなたは…、って不審がられる。
その頃の正規日本国民は26万人程度で地下トンネルでレジスタンス活動を全世界に向けて続けていて。正規国民は見られたら今で言うロックスターぐらいの扱い。
正規兵隊が出てきますが尋常無い程の科学力、兵器力、士気、体力、動作。国連軍を圧倒。感触では100倍位の人員で相手を殲滅。
国連軍は負けるとなるとすぐに降伏。降伏すると捕虜で一切酷い扱いをされないから。但し降伏後に反撃すると全員殺戮の上、国連軍の所属旅団も全滅させられるからとのこと…。
小田桐が地下司令部で待っている間に読んだのは小学生向けの歴史教科書。広島、長崎の後にも原爆投下され。沖縄戦の後本土決戦、で大本営が地下に総司令部を移動。だが「旧帝国軍」はサイエンスではなく。
アジアを歴戦していた将校が帰国。石原莞爾の号令の元、地下に…。
大東亜戦争時の日本軍は「旧帝国軍」と呼ばれサイエンスではなく、人の命も大事にしないあってはならない、それが負けた理由と。
そして海外で戦って来た将校というのは極めて少ない経験だと。その当時は海外旅行も稀だし、海外旅行ではなく留学、駐在どころではなく戦って来た経験というのは超重要だと。
それら将校が地下司令部に参集して極めて稀な経験を活かしたと。
って荒唐無稽なのは承知だが第二次大戦当時、米軍は沖縄上陸の後、日本のどこに上陸するかまで作戦立案してました。ま、これは当然ですが。

ダウンフォール作戦(Wikipedia)
オリンピック作戦では九州を占領し、コロネット作戦では関東平野の占領を目的としていた。仮にこの作戦が実行されていたなら、史上最大の水陸両用作戦となった[1]。

さらにこないだ書いた読書メモの「読書:フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔」だと…。

原爆の標的委員会で科学者代表で出席。空軍は「皇居、横浜、新潟、京都、広島、小倉」を提案。ノイマンは皇居への投下に強く反対。何故かと言うと占領統治まで見据えた意見。だが一方では京都への投下は強く進言。日本人の意欲を削がせるためにも京都を完全喪失させるべきだ、と。だが軍部は後年、アテネやローマを破壊したに等しいと言われる、と京都は回避。
さらにノイマンは戦後今すぐにソ連へ攻撃するべきだと進言。冷戦を予想してたらしいよ…。

本書では…記憶のままなので詳細ではないですが日本は分割統治、占領になっていて。北海道、東北はソ連、関東は米国、四国、九州は詳細失念だけど中国やイギリスに支配されている。
ってこの辺はある意味リアルかも。旧ドイツの様に東西で分割統治されてた例は有るので。
そしてベトナム戦の様にゲリラ戦で戦い抜いて米国に対抗した例も有るし。
小田桐が地下司令部の48人委員会の司令官の一人と、その助手の女性と会話するシーン。昭和の風景を描いた三丁目の夕日の様に牧歌的、なのにも全部科学的な理由が。

五分後の世界(Wikipedia)
『五分後の世界』(ごふんごのせかい)は、村上龍の小説。幻冬舎から1994年3月に刊行された。
第二次世界大戦から現代に至るまで米軍を中心とする連合軍と戦争を継続している平行世界の日本を描くことで、現代日本に対する強烈なメッセージを秘めた作品である。村上龍はあとがきにおいて「最高のものになった」としているように、作者の代表的な「看板作品」である。
作品中の日本国土の分割統治については、日本の分割統治計画をベースとしていると思われるが、中国とイギリスの支配計画地域が逆(イギリスが四国地方、中国が中国地方と九州地方)に設定されている。
あらすじ
箱根でジョギングをしていたはずの小田桐はふと気がつくと、どこだか解らない場所を集団で行進していた。そこは5分のずれで現れた「もう一つの日本」だった。「もう一つの日本」は地下に建設され、人口はたった26万人に激減していたが、第二次世界大戦終結後も民族の誇りを失わず、駐留している連合国軍を相手にゲリラ戦を繰り広げていた……。

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